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たかが戸車 されど戸車

今回は、問合せ件数で錠前と一二を争う 噂に名高き部品 ”戸車” のお話です。

”玄関引戸の動きが悪いので見に来て欲しい”との連絡を頂き、早速お宅にお伺いして玄関引戸の具合をみせて頂きました。動きが悪く重い=過労で消耗し尽くした戸車によく見られる、引退前あるある です。
戸車にも寿命があり、写真からも見てとれる様に、もう悲鳴を上げていて、TKO寸前です。戸車がこの状態になっているので、当然サッシ本体も大分お疲れモードに入っていました。
お客様に現状を詳述してカバー工法のリシェントでの取替を勧めてみましたが、今回はそこまでお金を掛けられないということで、とりあえず部品を探してみる事になりました。

付いていたサッシはアルナ工機というメーカーの製品でした。阪急電鉄の子会社:ナニワ工機として設立され鉄道車両やアルミサッシなどの製造を手掛ました。1950年代鉄道車両、船舶、建築用のアルミサッシを開発、販売を開始し、NK(ナニワ)式窓はこの分野で圧倒的シェアを獲得しました。
1960年頃から住宅用建材分野に参入し、アルミのナニワを略した商標のアルナをアルナサッシのブランド名としました。業績好調だった1970年には商標を社名としてアルナ工機株式会社と改称しました。
しかし、1990年に採算面を理由として建材部門はトーヨーサッシ(後のトステム、現LIXIL)に吸収されています。
という訳で、メーカー純正戸車は現存していないので、適合する汎用品を使う事になりました。

昔は沢山あったサッシメーカーですが今では激減していて、存在しないメーカーの部品探しは、なかなか手間暇がかかります。特に、今回は溝幅が大きかったのでフラットバーと両面テープを駆使して汎用戸車を取付けました。
出入口を出入りする際には、必ず開閉が欠かせないという過酷な使用頻度で戸の重量を支え続けています。汎用品なので純正品ほどの長持ちはしない様です。
次回は丸っと取替のご検討を、再度御提案させて頂きます。

ピッカピカの真新しい戸車に取替えたら、戸の動きが良くなり過ぎて、開けてはならない内障子を開けてしまいました。過ぎたるは及ばざるがごとし 開閉がスムースになり過ぎるのも、良し悪しです。
お客様、申し訳ありませんでした。滑りが良くなっておりますので、お気を付け下さい。

今回は部品だけに パーッ といこ~か! 2023 夏

今回は新設の玄関ドア(カメオ出演)に戸当りを 取付けた際のお話です。

建物には開口部があり、出入りする際に取付けてある戸を開閉します。たまに、開けっ放しのお行儀のよくない方を見かけますが、茨城の方から ”けつぬけ” と罵倒されない様にお気を付けて下さい。
こちらの建物には二箇所の玄関ドアを設置しており、二箇所ともドアクローザーを取付けています。ドアクローザーには、ドアが開く方に強風や外力が加わった時に、急激にドアが開くのを制御するバックチェック機能というものがあります。しかし、風の強さによっては扉があおられてしまうこともあるので、扉のレバーハンドルが外壁にゴツンするのを防ぐ為、戸当りを取付けました。
一口に戸当りと云っても色んな種類の物があります。

戸当りの種類は豊富で、枠付き、建具付き、壁付き・巾木付き、床付き と取付ける場所も様々で、フックやキャッチ付きの物であれば、開いた状態を維持する事が出来ます。
壁面や床面への取付だと邪魔になることもあり、特に床面の場合は掃除がし辛い、ゴミが溜まりやすくなったりと一長一短なので、取付場所や室用途を十分把握したうえで、適したタイプを選定する事が重要です。
今回取付けたのは床付きタイプです。
床付きには今回のタイプの様に、シンプルに衝突を回避するタイプの物や、フック付きの物があり、今回はフック無しです。

製品の取付には受け材が必要で、受け材の取付けは先付けとあと付けに大別されます。一般的には、構造体を施工する際にアンカー類を設ける方が信頼性が高く、受け材の取付けは先付け方式が原則となっていて、打Con時の田植えの様なアンカーセットが代表例です。ただし、変更やミスで値が張るケミカルアンカーも使うし、今回の様な戸当り程度であれば、あと施工アンカーとなります。まあ、こちらの方が精度を確保しやすいので、今回もあと施工アンカータイプの製品でした。
あと施工アンカーは、母材にあとから孔をあけてアンカーを埋け込むもので金属系、接着系、その他のアンカーと穿孔する孔は深くないのですが、奥がとっても深いのです。
今回は、あと付け方式⇒施工アンカー⇒金属系アンカー⇒金属拡張アンカー⇒芯棒打込み式という、何やら家系図様になってきましたが、穿孔時の留意点は共通で、穿孔位置の精度、穿孔面に対して垂直の孔、穿孔時・穿孔後の切粉の除去、穿孔深さと孔径に適したドリル径の選定など、万全な下準備を必要としますが、実際の施工自体はそれほど時間がかかりません。手抜きをせず事前に準備を整えておけば、写真の様に短時間で取付け完了です。
カメオ出演の玄関ドアと異なり、中々スポットライトを浴びることの無い部品ですが、その深遠さは計り知れません。
暑い夏に、熱く語ってしまい、ご迷惑をお掛け致しました。

枠枠させてよ!

今回は弊社社員の実家で玄関ドアの取替を行 なった際のお話です。

弊社不動産部門の不動の四番である社員の実家で、新築したのが大学在学中、気付けばもう27~8年の年月が過ぎていました。住宅の顔ともいうべき玄関は、開閉に支障こそきたしていないものの、レバーハンドルの固定が長くもたず、最近ではすぐにグラつくようになっていました。
「使えるからいいや~」と思いつつ、チョット待て、今、住宅の省エネで補助金が貰えるチャンスと思い直し、開口部の断熱改修工事として、内窓の設置と共に玄関ドアの取替工事を行ない、工事着手したことがわかる写真をゲットして、こどもエコの補助金が枯渇する前に、予約申請を行なう事にしました。

善は急げ という訳で、出来るだけ速やかに発注をかけて、可能な限り早く製品を入手し、直ちに工事を行ない、即、予約申請を というタイトなスケジュールで予断を許さない工程です。製品としては施工性を重視して、ノータイムでカバー工法のリシェントをお勧めし、甘受して頂けました。現状の玄関は片袖飾りランマ付のドアで、採光となるガラスの面積が大きく日中の玄関内部は比較的に明るかったそうです。
住まい始めた当初は、家族全員が若く躰への不安も一切なかったことから、片開きドアに何の不満も感じませんでした。
しかし、四捨五入すればもう三十年、弊社社員も五十路手前、当然ご両親も相応の齢を重ねられ、高齢となられていました。先々の車椅子対応等も視野に入れ、今回は親子ドアを選択されました。
また、ランマ無しにして軒天までドアがズドンッの方が解放感が得られるのでランマは無くし、採光面積が減った分の玄関内の照度は、照明器具で補うことになりました。

デザインは、本体に2本・子扉に1本の採光部が扉の足元から天辺まで貫きシュッとした感じ これを身も心も引き締まるクリエダーク色が更に引き立たせています。
文字通り生まれ変わった玄関は、昨日迄のそれとは異なり、何となくよそのお宅にお邪魔していている様な感すら覚えてしまいました。
工事前に施工性が抜群で一日で終わると聞いてはいましたが、出社する前と帰宅した後では別世界の玄関となっていました。

今回、補助金に後押しされて思い立たなければ変わることが無かったであろう玄関。良い機会に勧めて貰えて本当に良かった、と、家族みんなで満足して頂けました。
いえいえ、喜ぶのは未だ少し早過ぎでしょう。九月の内窓設置工事後は、断熱効果を肌で実感し、さらなる感動が押し寄せるでしょう。
その詳細はまた九月に御案内します。

部品取替は宝探し EpisodeⅠ

住み始めてから経る年月はアッという間に過ぎてしまうもので、気付けば”もうこんなに...”と驚愕の事実を甘受するのに時間が必要な位です。
その間、住まいは一言の不平を漏らすことなく耐え続けてきたかと思うと、謝意を表す言葉が見当たりません。
という訳で今回は経年劣化により、住まいの一部に不具合が起きた件についてご紹介します。

一回目は勝手口の框ドアシリンダーの不具合です。錠前は長く使用していると様々な要因が絡み合い、かみ合わなくなってきます。
先ず、本体とストライクの位置関係に三次元のズレが生じ、デッドボルトやラッチボルトとストライクの位置が合致せず、施錠解錠に手間取ったりします。外部シリンダーと内部サムターンの締付けが緩んでガタつくのも、軸棒を通して色んなところに負担をかける要因となります。
また、錠前も類にもれず一番厄介なのは部品の種類が多いことです。本体のシリーズ・製品・取付時期を特定出来れば良いのですが、人の記憶は曖昧で、頼みの刻印や製品ラベルの印字も月日と共に色あせて、蒼いフォトグラフ状態です。

製品を特定出来るヒントが残されていない場合は、実測に頼るのみです。錠前の場合、ドア厚バックセットに始まり、フロントプレート長やビスピッチなど様々なものから総合的に目的の部品を割り出します。
この作業には相当の時間がかかっていて、ほとんどの場合、取替の所要時間を凌駕する時間を割いています。
幸いなことに今回は製品を特定する事ができ、補修部品も現存したので、比較的短時間で部品の手配を済ませることが出来ました。
現地での取替作業の際も何事もなく、無事完了です。

実を云うと、今回は経年劣化による不具合ではなく、スペアキーも含めて鍵をなくされた為のシリンダー取替でした。
昨年より防犯面からスペアキー製作にも制限がかかり、代理店や工事店ではなくお客様が直接製作依頼をかけて頂く事になっています。
お客様には、今までにも増して鍵の管理に留意して頂ける様に、アナウンスの声を大きくしています。
それでは、次回網戸の動きの不具合についてのご紹介でお待ちしております。

取替えるか葛藤 いや負けとう ってこの言葉知っとう?

玄関引戸の調子が悪いから見に来て欲しいとの連絡が入り、在宅時間を確認の上、お住まいを訪れました。
先ずは声掛けをして玄関先でお客様とご対面。
こちらのお宅は以前キッチンの取替でお世話になっていたので、前置き抜きで引戸の症状を伺いました。開閉の際に戸が外れるとのことで、見せて頂くとレールが曲がっていて、湾曲部で戸車が脱輪していました。

本体が未だ新しいのであれば別ですが、相応の年数を経ている様で、調整範囲を超えて枠と障子の隙間がなくなりません。硝子もむき出しで防犯・防災面からも本体取替の提案がベストと判断しました。
お客様に詳しくご説明した上で、取替に際してのご意向を確認し、日を改めて見積書をお持ちして提案させて頂きました。
今まで相当不便だと感じていらしたご様子で、見積内容をご説明させて頂き、この度の工事へと至りました。

製品は最近ほとんどの玄関取替工事でご採用して頂く、カバー工法のリシェントです。
取替える前のサッシにはランマが付いていましたが、障子が思いっきり背伸び出来る様にランマ無しを採用。こちらの方が意匠的にも解放感が得られます。
工事の後に眺めてみると、デザイン・色共にお住まいに溶け込んでいて、ず~っと前からこのお宅を見続けてきたかの様な安定感ある玄関に生まれ変わっていました。

工事後に、再び玄関先でお客様とお話しさせて頂いたのですが、視線が常に新しい引戸に向いているのをとても嬉しく感じました。
これから先、何十年という単位でこのお住まいを守り続けてくれるのでしょう。
宜しくお願いします。
それではまた、別の工事でお会いしましょう。