今回は、玄関錠と戸車取替についてご紹介します。
お電話やご来店などにより、ご依頼を頂く内容の2割を超えるメンテナンス対応の2Topの事例をご紹介します。この事例を製作するにあたり、2023年一年間のデータを振り返ってみました。その結果、ご依頼を頂いた総件数に対して、錠と戸車の取替が約24%絡んでいました。この2つの取替単独のものばかりではありません。しかし、それ位この2つの主要部品は重責を担っている 言葉を替えれば苦行を強いられているという証でしょう。
特に今回の様に、住人の外出・帰宅時や来客の都度開閉が繰り返され、戸車は疲労を重ねます。これにより建ちが狂い始め、施錠・解錠に支障をきたし始めます。軽症の時点で調整や戸車交換により健全な体に治癒してあげれば、錠前のダメージも少なくて済みます。しかし悲しい事に、悲鳴を上げて泣き叫ぶのを無視して酷使した結果、錠前までもが引退を余儀なくされるのです。
4月中旬に玄関錠が壊れたというお電話を頂き、その後、錠前を外して会社に持参して頂きました。この錠前が付いているお宅は築30年ほど経っているそうで、錠前取替費用の見積依頼を受けました。このお宅に実際に住まわれている方は現在家を離れているそうで、近親の方がご依頼にみえました。既設部品をお持ち頂いたので、取替用部品の特定にそう時間を要しませんでした。かかる費用をお伝えしたところ直ぐにご用命頂き、1週間後の製品入荷を待ち取替に伺いました。
製品に使われている部品を特定するのは、結構手間暇が掛かります。刻印などにより製品や品番を特定出来れば比較的に容易です。しかし経年により刻印が消えていたり、いつ頃付けたかすら不明など、手掛かりが無ければ話は別です。この時、色んなアングルからの写真による部品の外観もヒントとなります。さらに、框や部品の見付・戸厚・切込寸法など様々に採寸を行ない、数多ある部品の中から適合する物を探し出すのです。私の机の背面の棚にある補修部品カタログドア・引戸版において、錠関係の掲載ページは180を超えています。過去にも部品紹介の事例をお伝えしましたが、掛けた手間暇にそぐわない程度の対価でしかなのです。
力尽きそうな錠前を取外し、慰労の言葉を掛けながら取替前の錠前とご対面です。その後新しい召合内外錠を、位置を調整しながら取付けます。取付が済み動作確認を行ったところ、施錠・解錠はスムーズに行えるようになりました。しかし、障子の動きが思わしくなかったのでチェックしたところ、戸車も消耗しきっていました。これが原因で建ちが狂えば鍵穴がズレて、再び錠前を傷める事になります。
そこで、お客様にご説明した上で、戸車も取替える事にしました。写真にあるように、今回は製品が特定出来ているので、速やかに発注を行うことが出来ました。
製品入荷後直ちにお宅に伺い、戸車を新旧取替えて再度調整を済ませ、錠と障子の動きを確認した後にお客様にご挨拶を済ませ、お宅を後にしました。
齢を重ねられているお客様は、ご不便な思いをされていたのでしょう。使い辛くなかったですか尋ねたところ”閉める時には、戸をしっかり押さえないといけなかった。”と、これまで煩わしい思いをされていたようです。続けて”戸の開閉が楽になり、鍵も簡単にかかるようになって助かりました。有難う御座いました”との言葉を頂き、部品特定から取替に至る一連の作業も報われた そんな気がしました。
いえいえ、こちらこそお世話になりました。また何か御座いましたらいつでもご連絡を下さい。
それではまた、どちらかのお宅の事例案内でお会いしましょう。