今回は、玄関と勝手口の引戸錠取替のお話です。 Let it go❣
こちらのお宅では、昨年九月に ”玄関引戸の動きが悪いので見に来て欲しい” とのご連絡を頂き、アルナ工機というメーカーのサッシの戸車を取替させて頂きました。
年も明けて早くも二月のある日、同じお客様から今度は ”玄関引戸の内締錠がなかなか解錠出来ない。何か起こってもすぐに逃げられない” と、人命にも関わりそうなお電話を頂き、早速錠前の状況を確認する為に、お宅にお邪魔しました。
戸車取替の際の履歴から、玄関サッシのスペックはわかっていましたが、到着後に伺ったご要望は少し増えていて、 ”こちらも調子が悪いから” と、勝手口の店舗引戸錠取替もオーダーメニューに加わりました。
帰社して精査したところ、双方共に取付けてから年数が経っているので、純正品の錠前は流通していませんでした。しかも残念なことに、加工することなく取付けられる代替の錠前がありませんでした。
錠前は外付けではなく、外障子と内障子の框の召合せ部分に貫通穴を開けて取付けます。障子の厚みや障子と障子の芯々寸法などによっても、取付け可能な錠前は限られてきます。
新規取付の場合は、当然新規の障子が提供している純正品なのでこんな苦労もないのですが、取替となると話は別です。既存の貫通穴に合致するものが無い場合、出来るだけそれに近い、加工が少なくて済む代替品を探します。
何とかそれぞれの代替品を探し当てて、加工手間も含めたお見積金額をご提示し、取替依頼を受けました。
代替品は在庫の汎用品で、納期は必要ありませんでした。注文して代替品が入荷するまでの間に、不測の事態でも起きてしまうことだってありますから、早いに越したことはありません。
取替に際しては、加工ミスはご法度です。障子を建て込んだ状態で、既設錠前の取付位置を入念にチェックします。その後、既設錠前を取外し労いの言葉をかけると、障子とのお別れです。郷愁に浸ってばかりもいられません。新設の錠前を取付ける為に、内外障子框の召合せ部分の貫通穴を拡げなければなりません。穴を切り拡げる位置を慎重に、何度も確認します。
ここでいよいよディスクグラインダーの登場です。使い続ける為にはディスクの取替が必須で、研削砥石の資格保持者でなければ取替出来ません。資格が必要なのは、作業に危険を伴うからです。詳細な位置・寸法を確認する為に、建て込んだ状態だった障子を外し、飼木・養生をして寝かせると、動かない様にクランプで固定してから工具を手にします。何てったって、安全第一 ですから。
慎重且つ丁寧に作業を進めたお陰もあって、玄関・勝手口の障子共に新しい伴侶となる錠前を、快く受け入れてくれました。
貫通穴を拡げる作業はミスが許されないという緊張感もあって、精神的負荷の大きいものとなりました。それでも、調整しながら取付けて、開閉がズムーズになったのを確認したら、何だか疲れも吹っ飛んだような心持になりました。
取替後、お客様に動作確認をしてまらったのですが、ガチャガチャと鍵穴を探る煩わしさから解放され、とても喜んで頂けました。
今回も、大変お世話になりました。
それではまた、どちらかのお宅の事例案内でお会いしましょう。